「オールザッツ漫才の裏側」オンエアグラフィックデザイナー編
年末恒例の特番となった「オールザッツ漫才」。オンエアグラフィックセクションでは、若手の登竜門でもあります。今回は「オールザッツ漫才」のタイトルロゴデザインやテロップなどのデザインができるまでと、オンエア当日までの裏側をご紹介します。
毎年年末が近づいてくると様々な特番が制作されます。中でも「オールザッツ漫才」は局を代表する人気番組であり、ファンも多い番組です。今年の担当は5年目のデザイナー。担当が決まるとまず番組を演出するディレクターやセットデザイナーと打ち合わせを行います。
そこで今年のデザインのコンセプトやイメージを共有します。今年はMCが交代して初めての年末のオールザッツという事で、MCの見取り図さんのHipHopな雰囲気を存分に出したいというオーダーが。「フェンス」や「路地裏」「スプレー文字」などのワードもでてきました。
オンエアグラフィックの仕事① 番組のタイトルロゴデザイン
番組の顔となるメインタイトルロゴを一番最初に制作します。打ち合わせで出たイメージをふくらませ、まずは手描きでおおまかな文字と人物イラストの下書きを描きます。その後Illustratorを使ってラフをおこし、データ上で調整・色付けをしていきます。
当初は見取り図の2人のイラストを添えるとのことだったので両サイドに配置。ロゴと同時並行で色や質感を加えていきました。途中、「ロゴを全面的に押し出したい」という注文を受けて2人のイラストをなくすことに。
演出とも相談を重ねた上で背景のDJブースや装飾を描き加えて、ロゴ全体のバランスを再調整し、完成したのが今回のタイトルロゴです。イラストはタイトルロゴでは使用しませんでしたが オープニングのCGやセットデザインで使用してもらうことになりました。
全体的に こだわった点は視認性と色の付け方です。番組を知らない人がロゴを見たときの読みやすさを保ちつつ、「HipHopな雰囲気」が出せるようなロゴデザインを心がけました。また今回は「テーマカラーとして ピンクとグリーンを使いたい」という注文があったので色数を抑えつつギラついた感じを出せるようグラデーションを効果的に使ったり、白い雷やキラキラをポイント使いすることで全体的に迫力が出るようにしました。
オンエアグラフィックの仕事② CG・テロップのデザイン
タイトルロゴが完成するとそのデザインから派生して、様々なデザインを作成します。得点表示をするCGや、番組進行に欠かせないテロップなど、多岐に渡ります。
ネタ中ではタイトルロゴの雰囲気に合わせつつも、あくまで主役の芸人さんが目立てるような色合いやデザインを心がけ、時折 挟む番組コーナーについては、その世界感に沿えるようなデザインに、とそれぞれの場面によって異なるデザインを提案していきます。
オンエアグラフィックの仕事③ セットで使用するグラフィックデザイン
番組のイメージに統一感を持たせるためセットデザインチームと連携して作業を進めます。今年は「HipHop」な「スプレー文字」をセットにも使用する事になりスプレー文字グラフィックを制作しました。
デザインしたものが大きく出力され、セットを彩っているのを見ると嬉しい気持ちになります。
オンエアグラフィックの仕事④ こんな物まで作る!?小道具の制作
バラエティ番組では芸人さんがネタで使用する小道具などを制作することも。今年は某カラオケ店のキャラクターパロディをするという事で「目」を作ったりもしました。番組を盛り上げるのに人役買っていました!他にも中継時に登場する架空の看板や架空の番組ロゴなども作成しました。
小道具は一瞬しか映らないことが多く 何気ないもののように思えますが、番組の世界観をより深めるためにも無くてはならない要素なので、こだわりを持つようにしています。そのため、他番組を見ている際に小道具がでてくるとつい観察してしまう癖がつきました。
オンエアグラフィックの仕事⑤ 当日は生放送のテロップ対応も!
オンエアグラフィックの仕事はデザインだけでなく、生放送でのテロップ作成も行います。深夜からオンエアに向けて、リハーサルでも作成物に間違いが無いかチェックします。また生放送中に緊急でテロップを作成することもあります。
生放送の現場はとても緊張感がありますがなるべく落ち着いて作業する事を心がけています。芸人さん達が繰り広げる珠玉のネタの数々を見守りつつ、時に爆笑しながら、今年も無事に生放送を終えました。
今年のメインデザイナーを担当した感想
今回のダークでギラギラとしたストリート風のデザイン作成は初の試みでした。以前、「オールザッツ漫才2021」のデザインを担当させていただいた際もメインテーマが同じく「ストリートな感じ」だったため、いかにデザインを差別化させるかを焦点におきました。
今回は例年より作成スケジュール期間も短く限られた時間内での作成でしたが、演出ディレクターやセットデザインチームとの相談を重ね、演出の希望に沿ったデザインを作成することができたと思います。ひとつの番組のデザインを一から限られた時間内に作り上げることは労力を要しますが、自分が作成したデザインが番組を彩る要因になっているのは大変うれしいことです。
大変な作業ですが、番組を見た人が「あの部分のデザインが良かったよ」「ここのコーナーのテロップ、面白かったよ」など反応してくださることが大きな励みになりました。