プロ野球中継CGの仕組み ~CGビデオエンジニアのお仕事~

「CGビデオエンジニア」(以下CGVE)とは、テレビ放送でCGを画面に送出するためのシステムを設計、開発、運用するエンジニアのことです。具体的にどのような仕事内容なのか、プロ野球中継を例にとって説明します。

プロ野球中継の画面には様々な情報が表示されています。各チームの得点をはじめ、ボール、ストライク、アウトのカウントや投球スピード、対戦中のピッチャーと打者の名前、ネクストバッター、控え投手の一覧などです。こういった情報をリアルタイムでテレビ画面に表示させるのがCGVEの主な仕事となります。

データベース構築

中継システム

多くの情報を試合の状況に応じてリアルタイムに画面に送出するために、まず最初に必要なのがデータベースです。例えば全球団の全てのピッチャーの過去5年間の投手成績と、打者成績が入ったデータベースを参照すれば、過去の投打対決の結果をCGで表示させることができます。

データベースはインターネット経由でダウンロードしたり、資料を見ながら手作業で打ち込んだり、試合中に1球ごとに記録したりもします。

CGソフト・システム構築・運用

試合中に視聴者が知りたい情報を、データベースから適切なタイミングで取り出すためのシステムを、プログラマーと共同で開発します。

CGデザイン作成

データベースから取り出したデータを、画面に出せるようにデザインし、放送業務用のCGシステムに落とし込みます。複雑な情報を一目で分かりやすくまとめるのがデザインのポイントです。

CG送出システム構築

中継システム2

中継当日はCGスタッフは球場には行かず、テレビ局内の副調整室(通称サブ)での作業となります。前日から机を並べて必要なPC(一回の中継でだいたい10台くらい使います)をセッティングします。

PCはそれぞれ役割が違っていて、選手の個人成績を出すもの、ピッチャーの当日の球数を記録するためのもの、スピードガンの球速を表示させるものなど様々です。

最後に映像回線を構築します。CGや効果音を放送に乗せるためのシステムです。

中継開始

本番中にCGを出すのはCGオペレーターの仕事です。CGVEは選手交代の度にきちんとデータベースが切り替わっているかチェックしたり、システム間で正しく通信されているか確認したりします。

システムがうまく動かない場合は速やかにトラブル対応にあたります。このように、CGVEの仕事は多岐に渡ります。複雑なシステムや、業務用放送機器の取り扱いはもちろん、野球のルールも知っておかなければ対応できません。

プロ野球は「記録のスポーツ」とも言われます。過去の記録や成績を見ながら観戦するのが醍醐味です。それだけに、間違ったデータを出すことができない責任重大な仕事です。一方で、野球ファンにCGを通じて楽しみを提供できるところに、大きなやりがいを感じます。

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