まずはプロデューサーやディレクターといった制作サイドと打ち合わせを行い、番組イメージや内容・出演者の人数・ターゲットとなる視聴者層などを話し合いました。
その話を基にスタジオ内の平面図を描き、セットの大きさや出演者の位置関係、カメラの位置などを確認しました。また同時進行でセットに使えそうな資料や素材などを探してイメージを膨らませていきました。
大まかな平面図が決まれば、具体的なデザインを起こします。今回はまず「ミント」という番組名からイメージされる色味をグラフィックのチームと共に話し合い「ミントグリーン」「ミントブルー」に差し色を加えるという方向で色味を決めていきました。
その後、具体的なセットの形を決めていったのですが、ミントでは制作の「草原がつながるような爽やかな…」という一言から、芝を敷いた台を全体的に出演者のバックに来るようにデザインしました。それにあわせ木やそこから差し込む木漏れ日、草原の中の丘などをイメージして、それぞれの形作りを行いました。そして出来たセットデザインを、今回はイメージ画としてプロデューサーとディレクターに提出し、訂正などを加え実際にセットを作る為の図面(道具帳)に落とし込んで行きました。
また図面を作る過程で1/50の模型も作成し、立体として成立しているかなどを確認し、新たな訂正も加え発注図面として各協力会社さんへ発注していきました。
発注後も色味の確認や細かな訂正がまだまだありますが、このような流れでセットをデザインしていきました。
スタジオの隣にある制作スタッフの部屋が後ろに見えるようにデザインしました。動き回るスタッフが映ることで生放送という「まさに今番組を作っている」というところを演出として取り入れたいというオーダーからです。
ただ見えすぎるのもよくないと…。なのでカメラ位置を検証しMCの立ち位置を決め、そこからセットの位置を考えました。また小道具を飾り、窓枠を作ることで「丁度良い後ろの見え方」を工夫してつくりました。
MCのバックに立っている木は、前々からこういう形の構造物を作りたい!と思っていたのを実現できたので気に入ってます。透けたアクリルが重なりあっているのが上手くMCのバックに来たときはニヤニヤしました。
あとは、ミント色のアルパカも気に入ってます。これは資料探しをかねて会社近くのインテリアショップを見に行った時に発見しました。
他にも集成材にロゴをステンシルで入れた壁や、後輩にデザインを手伝ってもらったモニターカバー、テーブルやセンターにある電飾のタワー等々。結局全てに思いが詰まっていますね。
「制作スタッフの部屋を見せたい」「番組前半・後半でセットを使い分けたい」「ターゲット視聴者層への訴求力」…他にも細かなところはたくさんありますが、一番気にかけた要望は「予算内に納める!」です。(笑)
ミント!は番組の前半部分と後半部分でセットが分かれているのですが、「前半後半でセットを使い分ける」という点で、同じ番組なので番組のカラーが変わってしまわないようにしながらも、前半部分と後半部分で雰囲気を変えたいというところのバランスが苦労しました。結局、色味や素材感は併せつつ、小道具の飾りや出演者の位置関係などはガラッと変えることで「同じ番組だけど違う雰囲気」というのを両立できたと思います。
どの番組でもそうですが、私はセットというのはまず「これがどういう番組なのか?」という説明を一目で視聴者に伝える役割が大きくあると思います。
その上でミント!のセットは「MCである大吉アナウンサーをより爽やかに、出演者をより華やかに」見せられるように後ろの色味を意識しました。
また役割とは違うかもしれませんが、長時間の生放送となるので「視聴者がストレスを感じない」という点も注意してデザインしています。